膝を治すための3つのポイント

こんにちは。疲労回復整体アカデミーの岡村です。

今回は膝を治すためのポイントを3つに分けてお伝えします。

1.膝の構造と症状の発生機序
2.膝の症状を引き起こす2つの歪み
3.施術後の「どうですか?」が怖くなくなる

これらを知れば、膝の症状の改善率は確実に上がります。

私自身どんな膝の症状の患者さんが来ても怖くなくなりましたし、病院で手術を勧められた患者さんが施術で治っていく事例を何個も見てきました。

目次

膝の構造と症状の発生機序

膝関節は人体の中で最も大きな関節です。

スポーツでも最もケガをしやすい関節で、運動時には体重の3~5倍も力が加わると言われています。

関節は骨の構造と関節を支える支持組織によって安定性を確保していますが、膝関節は体重を支えなければならない荷重関節であるにもかかわらず、骨の構造だけでは非常に不安定な関節です。

そのため、膝関節は人体や半月板などの支持組織が発達しており、それらによって安定性が保たれています。

私も2023年ハワイの解剖実習で、実際に膝関節を解剖し動作確認をしながらそれぞれの支持組織の働きを確認してきました。

前十字靭帯(ACL)を切断すると、大腿骨に対する脛骨の引き出しテストで不安定になるのが確認できたり、

内側側副靱帯(MCL)を切断すると、大腿骨に対する脛骨の外旋テストで不安定になるのが確認できました。

興味深かったのが、内側側副靱帯(MCL)や外側側副靭帯(LCL)を切断すると、大腿骨に対する脛骨の内旋や外旋動作は不安定になるのですが、

大腿骨に対して脛骨を横にせん断させる動作では不安定になりませんでした。

脛骨を横にせん断させる動作が不安定になったのは、半月板を取り除いた時です。

そのことから、大腿骨に対して脛骨が横に滑らないように安定させているのは半月板の機能によるところが大きいということが分かりました。

膝には負担がかかりやすい

このように膝関節は支持組織によって安定性を確保していますが、膝の症状というのはこれらの支持組織が損傷することで起こっていることが多いです。

なぜ支持組織が損傷するかというと、過剰な負荷が持続的にかかるからです。

膝関節は荷重関節であるので、体重が乗ってもその支持組織はある程度の負荷には耐えられるようになっており、多少ダメージを追ったとしても時間とともに回復できるようになっています。

しかし、過剰な負荷が常にかかり続けるとしたらどうでしょうか。

支持組織は耐えきれず損傷していしまい、損傷した後も負荷がかかり続けるので治っていきません。

場合によっては、自ら関節包の中に濶液を多く溜めることで関節にかかる負荷を軽減しようとします。

しかし、そのまま膝を使い続けると軟骨などもすり減っていき、最終的には変形性膝関節症などの症状にも発展していきます。

「ねじれに弱い」

では、なぜ過剰な負荷がかかり続けるような状況に陥ってしまうのでしょうか?

膝関節は一軸性の関節(蝶番関節)で関節は単純な動きをします。

この一軸性の関節の弱点というのは、「ねじれに弱い」ということ。

関節を構成する2つの骨が正しい位置で屈曲伸展していれば、関節に負荷がかかり続けることはありません。

しかし、どちらかの骨が内旋or外旋して正しい位置にないと、屈曲伸展した時に関節に負荷がかかります。

つまり、一軸性の関節はその上下にある関節の影響を非常に受けやすいということです。

膝関節でいうなら股関節と足関節。これらの関節のアライメントがズレていると、膝関節には継続的な負荷がかかり続けやすくなります。

必ず股関節と足関節の状態をチェック

こういったことから、膝関節の症状を施術する時には、必ず股関節と足関節の状態をチェックしなければいけません。

疲労回復整体においては、ROM(可動域)検査を使って関節の状態をチェックします。

膝の症状が出ている時には、股関節のROMまたは足関節のROMに何かしらの異常が必ずあります。

ですから施術前に、まず膝関節、股関節、足関節のROM異常を見つけ、それらがなくなるように調整していきます。

ROM異常というのは基本的にはROM制限のことで、関節を動かした時の最終可動域での硬さとして感知できます。

もちろん個人差はあるので「左右差を比べる」ということがポイントです。

▲膝には負担がかかりやすい

膝の症状を引き起こす2つの歪み

ROM制限を作っている原因は2つあり、「生理学的問題による歪み」と「解剖学的問題による歪み」です。

生理学的問題による歪みというのは、全体のバランスを取る反射システムが作り出す歪みのことです。

会社でスタッフが一人病気で休むとします。

すると、その分他のスタッフが休んだ人の仕事をカバーしないといけなくなり、負担が増えます。

チームのために一部の人に負担がかかるということです。

体もこれと同じで、脳血流を担保するために全体でバランスを取っていて、結果的に歪みが生じています。

一部の筋肉や関節に負荷がかかりやすくなっていて、それらが関節の可動域制限を作る要素になっています。

「生理学的問題による歪み」は疲労回復整体でほぼ全て解除できるようになっていて、整体だけでROM制限がほぼ100%改善できることもあります。

「解剖学的問題による歪み」

しかし、それだけでROM制限が解決できない場合は、「解剖学的問題による歪み」が存在します。

解剖学的問題による歪みというのは、生理学的問題による歪みが長期間リセットされないでいるうちに、歪みが固定化されてしまった問題のことをいいます。組織が変性してしまった状態です。

家で食事をした後にお皿やフライパンなどを数日洗わないでいると、汚れがこびりついて取れなくなりますよね。それと同じです。

組織の変性はこのように時間とともに生理学的問題から解剖学的問題に変性していったものもありますが、ケガや手術などによって組織が変性してしまったものもあります。

こういった組織の変性は、周りの筋肉や筋膜などを引っ張り、周辺の関節可動域に影響してきます。

整体で生理学的問題を全て解除してもROM制限が残る場合、こういった解剖学的問題がその関節の周辺に残っています。

「生理学的問題による歪み」

膝を治していく場合、股関節と足関節の関節可動域を左右差なくキレイに動くようにさせることが、膝を完治させる上で重要なポイントになります。

まずは、整体で全体を調整し、「生理学的問題による歪み」を全て調整。

それでも、股関節、足関節、膝関節のROMで左右差があるなら、周辺の解剖学的な問題を探していきます。

解剖学的な問題というのは、筋肉組織や関節を構成する軟部組織に起きています。

変性にいたる時系列としては筋肉→関節となるので、主従関係は主が筋肉、従が関節です。

まずは筋肉の問題を先に解決しなければいけません。

最も効率的な方法は「TL」を使った検査法で、股関節、足関節、膝関節のROM制限を起点にして、影響している周辺の筋肉を探していきます。

周辺の筋肉の問題を特定

TLが使えなくても、最新テクニックである「疲労回復整体ストレッチ」を使えば、周辺の筋肉の問題を特定でき、調整も容易にできます。

大殿筋、中殿筋、ハムスト、前脛骨筋など股関節、足関節、膝関節に影響している筋肉の問題を見つけて調整し、それぞれの関節が左右差なくキレイに動くようにしていきます。

筋肉の問題を全て調整し、まだ関節の動きが悪ければ、関節に対しても直接アプローチして関節組織の問題も調整していきます。

ここまで1回で調整できる場合もあれば、2回3回と回を追うごとに関節の動きが良くなっていく場合もあります。

関節の動きが良くなってくればその場で痛みが消失していくケースが大半ですが、関節の動きが良くなっているのにその場で痛みが変化しないというケースもあります。

それは、組織の損傷度合いが大きく、炎症がその場で引かないというケースです。

しかし、そのような場合であっても、基本的に股関節、足関節、膝関節の動きが左右差なく動いていれば、時間とともに改善していきます。

施術後に患者さんがまだ痛みを訴えていても、「これで大丈夫だと思いますから様子を見てみましょう」と自信をもって伝えてあげてください。

▲最新テクニック「疲労回復整体ストレッチ」がオススメ

施術後の「どうですか?」が怖くなくなる

施術をする時に「どの状態になればOKか」という基準をどこに置くかは重要なポイントです。

施術者ができることは膝にかかる負担を極力無くしていくことだけで、いわば「治るための環境設定」をするだけです。

環境を最適にできても、組織が傷ついていれば痛みはその場で取れないこともあります。

傷ついた組織を治していくことは患者さんの体がやっていくことなので、症状が治っていくまで見守るしかありません。

このように、施術がうまくいっても症状がなくなるまでにタイムラグがあるということを知っておかなければいけません。

もし、患者さんの痛みの感じ方を基準にしてしまうと、施術後「痛みはどうですか?」→「まだ痛いです」となった時に焦ってしまい、あの手この手でこねくりまわしてしまいます。

そのような状況が何度も続いていくと、施術後に「どうですか・・・」と聞くのが怖くなります。

患者さんに振り回されない秘訣

ROM検査など客観的な評価法を持っていれば、患者さんが「まだ痛いです」と言っても、

「関節の動き自体は良くなっているので膝の負荷は減っています。あとは傷ついている所を体が修復するのを待つしかないので、ひとまず様子を見てみましょう」

と患者さんに自信を持って伝えることができます。

患者さんの主観的な判断軸ではなく、体の状態を正確に把握する客観的な判断軸を持つことが患者さんに振り回されない秘訣です。

▲患者さんとのコミュニケーションに自信を持てる!

今回は膝を治すポイントを3つ解説しました。参考にしてみてください。

ps.「ROM検査」「TL」などの検査法は疲労回復整体アカデミーで学ぶことができます。

 興味のある方はアカデミーの中で学ばれてみてください。

 ▼解剖学的な問題を調整できる新テクニック「疲労回復整体ストレッチ」

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疲労回復整体アカデミー講師の目線で、臨床事例やプロの整体師の先生に役立つ情報を発信していきます。

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