坐骨神経痛と栄養ドリンクの関係【臨床事例】

こんにちは。疲労回復整体アカデミー講師の岡村です。

今回は、坐骨神経痛の患者さんを施術した時の事例を紹介します。

「坐骨神経痛」40代男性/職業・消防士

今回の患者さんは40代男性、職業は消防士、主訴は「坐骨神経痛」です。

15歳の頃から腰痛があり、1年前から左足臀部からふくらはぎにかけて坐骨神経痛が出るようになったそうです。

10分歩くだけで臀部の痛みが酷くなり、攣りそうになる、しゃがむと回復するということでした。

去年MRIを撮ると、L5のすべり症と診断されたそうです。

既往歴は特になく、学生時代野球をやっていて両足を捻挫したことがある程度でした。

1回目の施術

全体の筋肉の緊張度を見る「体調検査」を行ってみると、予想に反して全体の緊張度は低く、体調は良い印象でした。

なので、施術ポイントさえ見つけられれば、初回の施術でもある程度結果は出るかと思いました。

また、歩いている時に症状が酷くなるということだったので、足のどこかに原因箇所があるのではないかとも予想しました。

まずは、検査で症状と関連がありそうなROM異常を見つけるために、腰部周辺のROM検査を行いました。

腰椎、仙腸関節、股関節、膝関節のROM検査を行うと、左のL5のROM制限がありました。

L5だけでなく、腰部が全体的に硬くなっていました。

次にTLを使ってL5の硬さと既往歴である足首の捻挫について調べてみると、右足首で反応あり。

全体を調整した後でも残ってくるようだったら右足首を調整しようと思いました。

患者さんに共有するために、腰から屈曲してもらって右足首を触っている状態と触ってない状態で腰の違和感が変化することを確認していただきました。

施術は、道具の3点セット(C/Aアジャスター、循環ホットパック)を使って全体の歪みを調整。

さらにシェイクと骨伝導で全体を調整し、再検査を行いました。

すると、全身の動きが良くなり、腰部全体の硬さも取れました。

逆に、周辺の緊張が緩んだ分、左L5の硬さが相対的に強調されていました。

再度、TLで調べると右足首でまだ反応があったため、右足首外側を水素で調整しました。

すると、L5左側のROM制限が外れ、腰部周辺のROMは改善していました。

2次的な問題(L5周辺の硬さ)が残っていたので、そこにも水素ガスを当てて硬さが更になくなりました。

「さっきまであった臀部の痛みがほぼなくなりました!痺れも出ていません!」と患者さんも喜ばれていました。

2回目の施術

2回目の施術はその4日後に行いました。

患者さんにあれからどうだったか聞いてみると、「3日くらいはとても良かったけど、3日後に長距離歩いてみるとまた坐骨神経痛が出てきた」ということでした。

ただ、「いつもなら10分歩いたら痛くなるのに40分歩けました。以前とは違います」とも話されていました。

検査をしてみると、左L5のROM制限はなかったので、前回の施術自体はうまくいってると思いました。

ただ、脊柱が全体的に前回よりも固くなっていて、前回は肩の外転検査も左右ともに180°上がっていたものが、今回は左150°右100°と上がらず、体調がかなり落ちていました。

初回と同じように道具を使って全体の歪みを調整しました。

再検査すると、全体の硬さは取れてくるものの脊柱の硬さは残り、肩の外転検査は左180°右150°になりました。

右の肩の可動域制限を作っている原因をTLで探してみると、肝臓周辺で反応がありました。

「もしかすると、肝臓が疲れているかもですね。何か薬を飲んでいたり、よくお酒を飲むとか甘いものが好きだったりすると肝臓が疲れやすかったりするんですけど、心当たりありますか?」と聞いてみると、「栄養ドリンクとかを毎日飲むんですけど…」と仰っていました。

どれくらい飲んでいるのか聞いてみると、「毎日某エナジードリンクを500ml飲んでます」という事でした。

私の経験上、栄養ドリンクを毎日飲んでいる人は、肝臓や腎臓など内臓に負担がかかっている人が多く、それが胸郭や背部の筋肉の緊張、脊柱の硬さとして現れていることが多いです。

そのような話を患者さんに伝えた後に、水素ガスを肝臓周辺に当てていきました。

右の腎臓周辺にも硬さが残っていたので同様にそこにも水素ガスを当てました。

すると、右の胸郭の硬さが取れて、肩の外転が左右ともに180°上がるようになりました。

そして、腰部の硬さも取れて動きが良くなりました。

患者さんの臀部の違和感はまだ残っていましたが、「腰の動きが改善しているので、時間とともに良くなってくると思うので様子をみましょう」と伝えて施術終了。

「毎日飲んでる栄養ドリンクの影響などで内臓が疲れているかもしれません。内蔵に負担がかかると結果的に腰にも負担がかかって治りにくい環境になってしまうので、次回まではできれば飲まないようにしてみてください」とアドバイスしました。

次回は3回目になるので、栄養ドリンクを飲まなかったかどうか内臓周辺の硬さが出てないかをチェックして、全体の状況をみていこうと思います。

「体質」改善

症状を根本的に治していくためには、体を治していかなければいけません。

体質がある程度良い人はどんなテクニックを使ってもある程度は治っていきますが、体質が悪い人はなかなか思うように良くなりません。

だからこそ「体質」を良くしていかなければいけません。

体質というのはホメオスタシスの機能のことです。

ホメオスタシスの機能が高まれば、自分の体を治す力が高まり、症状が治りやすい環境を作ることができます。

患者さんの体調

今回の患者さんは、初回の時は「体調」が良い状態でした。

「体調」とはその日の体の状態のことで、体調が良い人ほど刺激に対する反応が良く、ある程度の刺激量を入れても酷い好転反応は起きにくいです。

逆に、体調が悪い人は刺激に対する反応が悪いので変化がしにくく、施術をやりすぎると酷い好転反応が出るケースもあります。

「体調」はその日の体の状態「体質」は定期的に施術をしていく中で分かってくる体のホメオスタシスの機能のことを指します。

体質と体調の関係は、コップのと水に例えることができます。

コップの容量が100でその中に水が50入っているものもあれば、コップの容量が50でその中に水50が入っているものもあります。

ここでいうコップの容量は体質、入っている水は体調です。

どちらも入っている水は50ですが、前者は「体質が良いが、その日の体調がたまたま悪い人」、後者は「そもそも体質は悪いが、その日は体調がたまたま良い人」ということです。

今回の患者さんは、初回の体調は良く、5日後に来た時にあれだけ体調が下がっていたということは、「そもそも体質は悪いが、その日は体調がたまたま良い人」だった可能性があります。

栄養ドリンクを毎日500mlも飲んでいるということでしたが、栄養ドリンクはカフェイン、糖質、添加物など肝臓で代謝されるものが多く、肝臓に負担がかかると全体の循環機能が低下し、ホメオスタシスの機能も低下します。

以前毎週施術をしていた患者さんで、毎日栄養ドリンクを飲んいる方がいたのですが、毎回体をチェックすると背部の硬さが出ていました。

栄養ドリンクを飲まなくなってからは背部の硬さがかなり減り、症状も順調に改善していきました。

ホメオスタシスの機能を低下させる要素はいろいろとありますが、栄養ドリンクなど内臓に負担をかけるものもその一つになり得るということです。

体調と体質

坐骨神経痛の原因は様々ですが、そもそも全て症状は「結果」であり、そこに至るプロセスの中に「ホメオスタシスの機能の低下」が必ずあります。

「その日の痛みをどうやって取るか?」ではなく、長期スパンで「どうやったらホメオスタシスの機能が上がっていくか?」という多角的な視点をもって施術やアドバイスを行っていくとより根本的な症状改善に繋がっていくと思います。

今回は「症状を治すのではなく、体を治す」という考え方に基づいて、その日その日で患者さんの「体調」を見ながら施術を行うこと、そして継続的に施術を行って患者さんの「体質」を見極めること、「体調と体質」について解説しました。

是非参考にしてみてください。

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疲労回復整体アカデミー講師の目線で、臨床事例やプロの整体師の先生に役立つ情報を発信していきます。

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