あなたは「ヘルニアと診断された患者さんに対してどのような施術を行いますか?
こんにちは。疲労回復整体アカデミー講師の岡村です。
「 ヘルニアと診断された背部痛の改善事例」について
今回は疲労回復整体インストラクターが書いた事例を紹介します。
事例「呼吸がしづらい背中の痛み」
患者さんの詳細
年齢:50歳
性別:男性、事務職
主訴:背部痛
5日前に仕事中に急に背中が痛くなって呼吸もしづらくなったとのこと。
体を丸めてないとしんどいような状態が続き整形外科を受診。
レントゲン撮って胸椎ヘルニアが疑わしいと診断。
痛み止めを飲んでも変化なし。安静時も常に痛みがある。
既往歴は特になし。
背中の痛みが出る2ヶ月前まで首の症状(首の屈曲伸展時の痛み)で
通院していた方で調子が良くなってから来院は途絶えていました。
検査
●胸椎の圧痛や体の回旋(整形外科テスト):局所的な圧痛は認められず、回旋しても痛みが強まることはない
●首の自動運動:伸展時に背中の痛みが強く出る
●脊柱:胸椎が硬い
●肩甲骨内転:右が硬く、痛みが誘発される
●肩の外転:左右ともに90°で制限
見立て・分析
ヘルニアと診断されていましたが、整形外科テストの結果から
ヘルニアではなく、別の部分に問題があると予想しました。
検査の時に腕がかなり重たく、まず循環系の問題を疑いました。
水分を毎日2~3ℓ飲む方だったのでミネラル不足を疑い、
TL(関連を調べる検査法)で水を近づけると
胸椎伸展が改善する傾向があったので水を飲んでもらいました。
すると、胸椎伸展はしやすくなったものの
右肩甲骨内転時の硬さは変化しなかったので
そこをモニタリングしながら施術をしていこうと思いました。
また、以前首の症状で通院されていた時は
モーリーテスト(鎖骨上窩の圧迫)で陽性だったので、そこを見ながら施術していました。
今回も鎖骨上窩に触れないほど痛みが強く出ていたので、それも指標にして施術を行いました。
施術
整体器具3点セットで全体のゆがみを調整。
その後、「ダイヤルテクニック」で胸骨‐仙骨を調整。
その後再検査しましたが、首の反応と右肩甲骨内転時の時の痛みは依然として変わらず。
次に、「ツイスト検査法」で問題がある箇所を探していくと、頚椎と胸椎に問題がありました。
ツイストストレッチで調整し、さらにクラウドテープを貼りました。
すると、首の伸展時の痛みとモーリーテスト時の痛みは8割程度軽減。
右の肩甲骨内転時の痛みは5割程度軽減。
ただ、以前通院されていた時は施術後の痛みの改善がもっと大きかったので
患者さんもそれを期待して「まだ痛い」と痛みを訴えていました。
患者さんとの信頼関係は作れていたので
「体は変化してきているので一旦これで様子を見てみましょう」と患者さんに説明して施術を終了しました。
2回目は1週間後に施術。
「今は6~7割の痛みが残っている」とのことで、
胸椎の伸展、右肩の外転は陽性、右肩甲骨の内転時と
モーリーテストも痛みが出ていました。
施術は前回同様に行い、ツイスト検査では胸椎だけ問題が残っていました。
ツイストストレッチとクラウドテープで調整すると、
右の肩甲骨内転時の痛みは2割程度まで軽減。
モーリーテストでは痛みは出るものの触れるような状態まで改善し、今回は患者さんも満足していました。
3回目は5日後に行いました。
右肩の外転と右肩甲骨の動きは渋いものの他の動きは良く、
モーリーテストも痛みはあるものの触れる状態はキープできていました。
施術は前回同様に行い、最後に右腕に筋ポンプ。
ツイスト検査では胸椎と右上腕内側に問題が出ていました。
全体的に痛みは少し残るものの本人も満足して帰っていかれました。
9日後に来院された時は、少し痛みは残るものの
特に背中の痛みが強くぶり返すこともなかったそうです。
総括
今回の患者さんは痛みに固執するタイプでしたが、
患者さんに納得してもらって施術を終えることができたのは良かったです。
症状を追っかけてしまうとドツボにハマっていたのではないかと思います。
また、ヘルニアと受診されていましたが、
手順に則って検査をして施術をして結果的に良くなっていったので、
手順通りに施術することの重要性を改めて感じました。
段階的に改善していく
いかがだったでしょうか。
病院でヘルニアと診断されていても、実際、出ている症状の原因ではないことも多いです。
しっかり検査して体の状況を正確に分析しつつ、治りやすい環境を作っていくことが大切です。
また、「その場で症状がなくなる」というのがベストですが、
治療家の技術力だけではどうしようもないこともあります。
それは、患者さんの体の状態に依存するからです。
炎症が起きていれば、炎症が治まるまで時間がかかったり、
その日の代謝力が低ければ、体が施術に対応できないので
2回目、3回目と段階的に代謝力を上げていかなければいけません。
そういった意味で、患者さんとの信頼関係や、患者さんにどのように説明するかということは非常に重要です。
是非参考にしてみてください。
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