こんにちは。疲労回復整体アカデミー講師の岡村です。
疲労回復整体アカデミーに入会された方に入会しようと思った理由を聞いてみると、
「検査技術を身に付けたい」
「原因の原因を特定する方法を身に付けたい」
という声をよく聞きます。
実際に疲労回復整体では、「体調検査」「短下肢検査」「ROM検査」「TL」など
様々な検査法を駆使して症状の原因を特定したり、患者さんの体の今の状態を細かく把握しています。
それによって、今まで全く治らなかった慢性腰痛が治ったり、魔法のような変化を一瞬で起こすことができます。
今回は検査法の中でも特に人気がある「TL」について、使い方を臨床事例とともに解説してみたいと思います。
- 原因の原因を特定する技術を身に付けたい
- 検査技術を勉強したい
- 慢性腰痛を治したい
という方には参考になるかもしれません。
今回の患者さんは48歳男性/主訴は「慢性腰痛・倦怠感」
慢性腰痛に関しては20年前くらいからあり、特に座っている時に辛くなることが多いとのこと。
倦怠感に関しては半年前くらいから続いており、時折頭痛もあるということでした。
健康診断では脂肪肝と腎臓の数値を指摘されたということでしたが、薬の服用は特にありませんでした。
視診で背部の張りを確認し、内臓の負担を疑いました。
座っている時に症状が出ているので、足の問題よりも骨盤から上の問題が影響してるかもしれないと推察。
腰痛に関係しそうな関節のROM検査を行っていくと、腰部全体がユニットで硬く、仙腸関節の硬さもありましたが
どれも動き渋くなっているだけで動きはありました。
その中で、明確なROM制限が起こっている箇所が左のL4でした。
そこで、ここが慢性腰痛との関連が深そうだと思い、左L4をモニタリングしてながら施術することにしました。
まずは、原因となっている箇所をざっくり探そうと思い、最初にTLで左L4の硬さが取れる箇所を探しました。
すると、四肢では反応せず、内臓でも反応がなく、頭に触れてみると頭で反応がありました。
だいたい四肢で反応することが多いので、頭に問題があるケースは稀です。
実際に仰臥位で頭蓋をチェックしてみると右側に硬さがあったので、ここもモニタリングしながら施術に入りました。
他にも全体の検査を行い、以下の項目が気になりました。
- 肩の水平伸展:左右ともに硬い
- 骨盤検査:どちらも動きが渋い
- 仙腸関節ROM:左の動きが渋い
- 腰椎ROM:左L4が硬い
仰臥位で寝てもらって骨盤周りのROMを仰臥位でもチェックしてみると、やはり左L4の硬さがありました。
肢位を変えても硬さがあるという箇所は、慢性的に硬くなっていて長期的に負担がかかっています。
なので、そこの硬さが取れれば症状は改善していく傾向があります。
ただし、そこを直接調整すればいいかというと、そうではありません。
その箇所に負担をかけている要素が他にあるからです。
だから、治すべき場所は別にあります。
今回はTLで事前にチェックしていって、頭蓋に原因がありそうなことが分かりました。
施術は、整体器具であるC/Aアジャスターと循環ホットパックを使って「慢性A」まで調整。
その後、骨伝導と内臓ポンプで「頸椎-内臓」を調整。
そして、「骨盤」と「慢性C」まで調整しました。
すると、全体の「相対的な歪み」が解除されたので「絶対的な歪み(個別の慢性化した問題)」が見えてきました。
ROM検査を行うと、右膝のROM制限がハッキリと出ていたので、ココローラーで調整。
すると、次に右の頭蓋の引っかかりが出てきました。
最初にTLを使ってあたりを付けた箇所です。
細かく見ていくと、右の頭頂骨と前頭骨の冠状縫合が硬くなっていたので、冠状縫合をココローラーを使って調整。
頭蓋を調整する前までは左L4の硬さが残っていましたが、調整後は左L4の硬さが取れました。
最後にシェイクと骨伝導と軽い筋ポンプを行って施術終了。
起き上がってもらうと、「腰が今までと全然違います!呼吸もかなり吸いやすくなりました!」と今までと全然違う腰の動きやすさに患者さんは驚かれていました。
その後も、週1ペースで通っていただきましたが、左L4の硬さが出てくることもなく、
患者さんも以前のような腰痛が出ることはなくなったそうです。
TLはを活用できるシーン
今回は「症状の原因となっている箇所を施術前に調べるTL」を使いました。
TLは様々なシーンで使えますが、今回のようなタイミングで使うと、不安を持っている患者さんとの距離を一気に縮めることができます。
左L4を押した時の動きの悪さを患者さんに共有し、その後に頭に触れながら、同じことをすると、動きやすくなります。
それを2回くらい繰り返すと、患者さんも「え?本当だぁ!」と腰が柔らかくなるのを実感します。
そこで、患者さんに
「今まで腰痛がずっと治らなかったのは、原因となっている箇所が腰周辺になくて、全然違う所にあることが実は多いんです。
今調べてみると、今回の腰痛の原因となる箇所は頭にありそうです。」
というように説明すると、患者さんも自分が治っていく未来をイメージしやすくなりますし
施術の序盤で「ここをやれば変化を起こせる」という場所を見つけておくと施術者として精神的にゆとりができます。
このようにTLは、「原因の原因を見つける」というだけでなく
患者さんに信頼してもらえたり、施術を進めやすくすることもできます。
「できるようになりたいけど、習得が難しそう…」と思う方も多いと思います。
実際に私も学び始めた時は、「こんなのできるようになるの?」と思っていました。
しかし、「体の使い方」という基礎技術を一つ一つ習得していくと「これかな?」というものが自然と分かるようになってきて1年くらいでTLが使えるようになりました。
TLを習得するコツは、施術者自身の「体の使い方」です。
TLに限らず、他の検査法も他のテクニックも全て「体の使い方」がポイントになります。
今後も、この「体の使い方」について一つ一つ分かりやすくお伝えしていこうと思います。