こんにちは。疲労回復整体アカデミー講師の岡村です。
先日「施術体験会」に来られた治療家の先生を施術しました。
「施術中、左足に力が入りづらいんです・・・」ということでしたが、
施術後は、「すごい!足にピタッと力が入るようになりました!」と驚いていました。
原因は40年前の右手の突き指でした。
今回は、施術手順を解説したいと思います。
- 力が入りづらい症状の治し方が知りたい
- 筋力トレーニングを行っているけどなかなか完治しない…
- 症状の分析の仕方を知りたい
という方には参考になるかもしれません。
主訴「左股関節の力が入りづらい」
今回施術体験回に来られた方は、60代、女性、オステオパシーをされている先生です。
主訴は「施術中に左股関節の力が入りづらい」ということで、他にも、以下のことが気になると仰っていました。
● 左手も力が入りづらい時がある(最近)
● 首肩のコリを感じる(最近)
● 腰痛が出る時がある(20年前から)
症状としてはいずれも軽度なもので、腰痛以外の症状は施術で「体の使い方」を意識するようになってから気付いたそう。
腰痛に関しては、「施術で疲れるとたまに出てくる」とのことでした。
いずれも立っている時に症状が出ていることから「足に何かしら問題があるのではないか」と思いました。
既往歴としては、手術歴も交通事故も大きなケガもされたことはないとのこと。
昔やっていたスポーツを聞くと、「学生時代はバスケットボールをやってました」ということだったので、
「じゃあ捻挫とか突き指はしてましたか?」と聞くと「それはよくしてました」ということでした。
体の状態をチェック
「左股関節の力が入りづらい」という症状なので、まず、左股関節付近に何かしら異常が起きてると考えて
股関節のROM(可動域)検査を行いましたが、左股関節には異常がありませんでした。
そこで、範囲を広げて周辺の関節のROM検査を行うと、
● 仙腸関節ROM:左右ともに動きが渋い
● 膝関節ROM:左右ともに異常なし
● 足関節ROM:左が緩い
という結果になり、左の足関節を細かく検査すると、
左足の距腿関節が「過可動性の(緩すぎる)状態」になっていました。
「左股関節に力が入りづらい感じがすると言ってましたけど、
こっち(左距腿関節)に力が入りづらくなっているからそう感じるのかもしれませんね」
と伝えて、左足距腿関節のROM異常(過可動性)を指標にして、施術を進めていく方針を立てました。
右手の親指に問題あり
TL(関連を調べる検査法)を使って左股関節に影響している箇所を探していくと、右手で反応あり。
さらに詳しく調べていくと、右手拇指のCM関節付近に問題がありました。
「そういえば、ここは昔突き指をして伸びにくいんです…」とちょうど突き指をしたところでした。
実際に拇指を動かしてもらうと、左手は最大伸展するのに対して、右手は少し屈曲したまま止まっていました。
さらに仙腸関節の動きの渋さとの関連も調べると、やはり右手拇指で反応がありました。
「昔からの腰痛も今回左足に力が入らないのも、ココ(右手拇指)が原因かもしれませんね。
整体で全体を整えた後に問題が残ってくるようならココを調整しましょう」
と伝えて、施術に入りました。
施術手順
まずは、「代謝活性法」で代謝を上げていきました。
代謝が上がると、施術の刺激に対して体が反応しやすくなります。
次に、整体器具を使って、全体のゆがみを調整。
ゆがみが解除されると全体の循環力が高まり、軽度な問題であれば、これだけで治ったりもします。
整体器具で調整後は、全体的に筋肉の緊張が緩みましたが、
右手拇指の問題と左足距腿関節の過可動性は残っていました。
そこで、右手拇指CM関節付近を調整ローラーで調整。
すると、右手拇指が伸展するようになり、左足の距腿関節の過可動性もなくなり
仙腸関節の動きもスムーズになりました。
「拇指がこんなに伸びるのは初めてです!」と右手の変化に驚かれていました。
そして、立ってもらうと、「すごい!足全体に力が入る!」と効果を実感されていました。
過可動性の状態
過可動性の状態というのは、関節が緩くなっていて不安定な状態です。
この状態を「筋力不足」と捉えて筋力トレーニングを行ったりしても、なかなか治りません。
なぜなら、筋力不足のせいで「過可動性」が起きているわけではないからです。
体には「反射」というシステムが備わっていて重力に対応したり
外部環境や内部環境の変化に対応するために、全身の筋肉を緊張させたり弛緩させたりすることで
全体としてバランスを取っています。
これによって、体には「関節が硬くなるところ」と「関節が緩むところ」が出てきます。
この関節が緩むところが過可動性の状態です。
基本的に人間は寝ることで「反射システム」がある程度リセットされるので、この過可動性も解除されます。
しかし、何か問題があると長期間リセットできずに残ってしまう場合があります。
整体器具を使って調整すると、非常に高いレベルで「反射システム」をリセットすることができるので
ほとんどの反射はこれで解除されます。
全身の「関節が硬くなっているところ」と「関節が緩んでいるところ」が自動的に解除されるということです。
今回は整体器具で全体を調整した後も、左足の距腿関節の過可動性は残っていました。
つまり、その状態が長期間リセットされてなかったと分析することができます。
過可動性は補正で緩くなっているだけ
過可動性が起きている関節は調整してはいけません。
緩くなっているものをいじってしまうと、さらに不安定にしてしまう可能性があるからです。
過可動性は、補正で緩くなっているだけなので、
その原因箇所を特定して調整されれば、その場で過可動性は解除されます。
今回は、足の症状で、実際足に問題(過可動性)が起きていましたが、
その原因を作っているのは手の問題でした。
このような事例は決して少なくありません。
是非参考にしてみてください。
「体験会」実施中
疲労回復整体アカデミーでは、体験会を開催しています。
実際に「施術を受けてみたい」という方は、ぜひ下記をチェックしてみてください。