激痛で施術ベッドに寝られないような患者さんが来た時、あなたはどうやって施術をしますか?
こんにちは。疲労回復整体アカデミー講師の岡村です。
稀に施術することが不安になるような、激痛を訴える患者さんが来院されます。
そのような患者さんはどのように対応するのが適切でしょうか。
今回は実際の臨床事例をもとに、そういったケースの対処法を考えてみたいと思います。
- 激痛を訴える患者さんが来た時に焦ってしまう…
- 施術後、逆に痛みが酷く出てしまったことがある…
- 施術でミスをするリスクをなるべく下げたい…
という方には参考になるかもしれません。
臨床事例:主訴「右足の痛み」
疲労回復整体アカデミー講師の臨床事例をご紹介
今回の患者さんは55歳男性。
主訴は「右足の痛み」です。
以前から右足全体に痛みと痺れが時々出ていたそうです。
3週間前に前屈時の腰痛があり、その2日後モップがけをしている時に、大腿部の痛みが酷くなりました。
200m程度の歩行でもきつくなったということでした。
安静時痛もあり、足を伸ばして寝ることができなくなってしまったそうです。
夜中は2時間置きに起きてしまうとのこと。
来院時は臀部から大腿部~膝までの痛みを強く訴えられていました。
- 1ヶ月前に突発性難聴を発症されてステロイドを服用中
- 高血圧で降圧剤も服用されていました
施術ベッドに行くまでを観察すると跛行になっていて、足を引きずるようにしてなんとか歩けるような状況でした。
また、股関節が屈曲位になっており、股関節の伸展制限が見受けられました。
体の状態をチェック
非常に強い痛みが出ている状態だったので、座位検査以外の検査はできませんでした。
検査結果としては、以下の項目が目立っていました。
- 骨盤:右がロック
- 脊柱:腰椎、胸椎は硬い
- 肩外転:左右ともに90°
- 肩屈曲:左右90°
- 体幹の回旋:どちらも5°
施術時間にどれくらい耐えられるか分からないような状態だったので、
まずは整体器具3点セットで全体のゆがみを調整し、痛みが変化するかどうかをみてみようと思いました。
整体器具で全身のゆがみを調整
膝を曲げるとなんとか仰向けで寝ることができたので、整体器具3点セットを使って全体のゆがみを調整。
その後、筋ポンプを四肢に行って、起き上がってもらいました。
再検査を行うと、骨盤の右のロックは解除され
肩外転は左右120°まで上がってましたが、体幹の回旋は変化なし。
「少し楽になった」ということで、患者さんの体力も心配だったのでその日はそこで施術終了。
2回目の施術
2回目の施術は2日後に行い、「前回の帰りは少し楽だったが、夜の痛みや歩行時の痛みは変わってない」とおっしゃっていました。
ただ、その日の痛みの訴えは大腿部前面に限定されていました。
検査をすると、骨盤は前回と逆転していて左がロックしていました。
右は動いていおり、仰向けで足を伸ばせる時間は前回より増えていました。
施術はまず整体器具で全体のゆがみを調整。
うつ伏せの方が楽ということだったので、うつ伏せでハムストと大腰筋のツイストストレッチを行いました。
仰向けに戻ると右足を伸ばせる時間がさらに増えたので、ここで全体のROM検査を行いました。
検査結果は左肩、右股関節、右の仙腸関節、右腰椎が硬くなっており、
右足首は過可動性の状態でした。
TLを使って右股関節のROM制限から右脚の腸脛靭帯部に問題があると特定し調整。
すると、股関節屈曲時の痛みは残るものの可動域は上がりました。
座っている時の安静時痛も軽くなったので2回目はこれで終了。
3回目の施術
3回目の時に前回気になった右足首を見ていこうと思い、右足首を締めるような刺激を入れて股関節を屈曲させてみました。
すると、可動域が改善し痛みの訴えも少なくなりました。
そこで、その日は右足首をテーピングで足首の安定させて終了。
以前右足首を捻挫し、その時にサポーターをつけていたということだったので
「寝る時以外はサポーターをつけてください」とアドバイス。
4回目以降の施術
それから1週間後に来た時には、痛みのスケールが3/10くらいまで下がっていました。
そのまま週1ペースで通っていただいて、2ヶ月後には長時間歩いても痛みが気にならなくなりました。
システム的に施術をやっていける強み
今回の患者さんは、初回の時の痛みが酷く、最初の見立てが難しい患者さんでした。
整体器具3点セットを使ってフロー通りに施術を行うことで、迷わずに施術を進めることができました。
以前のように手技だけで施術をしていると、初回の対応が上手くできなかったのではないかと思います。
困った時ほど「これをやったら良い」というものがあると心強く
システム的に施術をやっていける強みを実感しました。
熊谷のコメント
症状が治るか治らないかというのは、自然治癒力がどの程度働いているかで決まります。
自然治癒力の働きはATP生産力、すなわち代謝力に依存しますが
そこに関わるのは循環です。
循環に影響する大きな要素はゆがみで、ゆがみを作り出すのは筋肉と関節です。
代謝力を下げる基本的な要因はゆがみですが、他の要素も存在します。
例えば、今回のようにステロイドや降圧剤を飲んでいると、それが代謝力を下げる要素になります。
代謝力が下がることによって、ゆがみも発生しやすくなります。
自然治癒力=ATP生産力
ゆがみを調整すれば痛みが治ると思っている人もいますが、そうではありません。
実際は代謝力というところがコアな部分で関わっていて、その代謝力を上げていくことで痛みは治っていきます。
YouTubeの施術動画などでは「痛みがどれだけ取れるか?」という話をしていますが、それは動画として見やすいからです。
あれは本質的な話ではありません。
本質的には自然治癒力が体を治します。
自然治癒力というのはATP生産力(=代謝力)です。
代謝力を下げる要素として、ひとつはゆがみがありますが、その他にも栄養の問題や酸化の問題などがあります。
それらのトータルで代謝力が決まってきます。
患者さんに対してはそういった関係性などを伝えて
「代謝力を一緒に上げていきましょう」と話をしていた方が良いです。
代謝力が下がった原因
今回の患者さんは代謝力が極端に悪くなっている状態だと思われます。
時系列として、1ヶ月前に突発性難聴のためのステロイドを服用されるようになってから
極端に悪化したということでした。
それまで症状は時々出ていたのは、代謝力が下がった時に出ていたということです。
症状が強力に出るようになった時期と、ステロイドを服用し始めた時期とは重なっています。
つまり、代謝力を下げた原因はステロイドということができます。
ステロイドを服用することで脳血流が足りなくなって、強烈に「歪まなきゃ」とスイッチが入ります。
そういった意味で、ゆがみを整えるということは方法としては有効ですが、
主な要素は、ステロイドの服用で代謝力を押し下げてしまっていることです。
対策としては水素を長時間吸わせたり、アイテムを使ったほうが効果的です。
それと合わせてゆがみを調整していく、といった方が適切だと思います。
▼水素の効果について
ゆがみ以外の要素がメイン
この状況の主従関係としては、ゆがみが主ではなく、ゆがみ以外の代謝に関係する要素が主です。
通常なら足の痛みというのは、筋骨格系の問題なのでゆがみを整えることが主ですが
今回のケースは逆になります。
筋骨格系に負荷をかけている主な要素が、ステロイドによる影響だからです。
施術プランの組み立て
今回の事例は、組み立てをうまくやっていけばもっと早く状態を安定させられたかもしれません。
今回も整体器具3点セットで効果を出せたのは
整体器具に付与されているテラヘルツ効果や、セラミックの振動数などの効果があったからです。
もし、手技で施術を行っていたとすると、悪化していた可能性の方が高いと思います。
手技でやるとするとかなり上手に施術していかないと難しいです。
僕がやったとしてもそうです。
少なからずこの段階での初診というのは、水素を吸わせたり代謝を上げるアイテムを使って
整体器具に寝かせることに終始した方が治りは絶対良いです。
例えば、これがぎっくり腰などの症状であれば話は変わってきて、基本は筋骨格系から調整した方が治りは良かったりします。
しかし、それも機序によるので、もし今回のようにステロイドが一番の原因であれば
先程と同様の施術プランになってきます。
代謝力をいかに上げていくか、という考え方で施術に取り組んでいくと良いと思います。
代謝力が極端に落ちている患者さん
いかがだったでしょうか。
代謝力が極端に落ちている人は、施術を行うことで逆に悪化してしまう可能性がある。
そのような患者さんに対しては、手技で施術をするのではなく
アイテムを使って、代謝力を上げることに終始した方が良いということでした。
整体器具やアイテムを使うと、施術後に状態が悪くなるリスクをグンと下げることができるので
患者さんに負担が少ない方法を探している方は、整体器具やアイテムの導入も検討してみるといいかもしれません。
整体器具3点セット
整体器具3点セットは疲労回復整体アカデミーに入会すると購入できるようになります。
施術体験会も行っていますので、ぜひご参加ください。