”PATM”という症状を聞いたことはありますか?【臨床事例】

「PATMという症状をあなたは聞いたことがありますか?」

PATMとは、PATMとは、People (are) Allergic To Me の略で、2008年あたりから欧米で呼ばれるようになった疾患概念です。

一緒にいる自分以外の人がくしゃみやのどの違和感を訴え、まるで自分がアレルゲンのようになって周囲の人に影響を及ぼすという症状です。

本人に異常は無いのに、周りの人がアレルギー症状のようなものを訴えるようになるため、自己嫌悪に陥ったり、対人恐怖症になってしまうこともあるそうです。

PATMの原因はまだ解明されていません。

疲労回復整体アカデミー講師の臨床事例をご紹介

こんにちは。疲労回復整体アカデミー講師の岡村です。

今回は疲労回復整体アカデミーの講師が施術を数回行う中で改善していった、珍しい症例について紹介します。

  • PATMがどのように改善していったか知りたい
  • アレルギー系の症状の治し方を知りたい
  • 施術してもなかなか治っていかない症状に対する糸口を見つけたい

という方には参考になるかもしれません。

患者さんは 20歳・女性/主訴は「PATM」

初来院時、最初はPATMの話は出てこず、「怠さや日中の眠気があるからそれを治したい」ということで施術を行いました。

施術後に院を出られてから10分位で戻って来られて、「実は・・・」と泣きながらPATMのことを相談されました。

PATMは高校入学してアルバイトを始めた時に周囲の人たちに症状が出て、徐々にその症状に気づいていったそうです。

PATMの検査を受けるのに20万程かかり、治療法も確立されてないので医療機関の検査は受けられてませんが、ネットで調べるとPATMと全く同じ症状だったということです。

私も初めて聞いた症状でしたが、確かに本人の前では鼻水が急に出始めました。

施術前に検査を行い以下の項目が気になりました。

  • 体調検査(全身の筋肉の緊張度を調べる検査)としては問題なし
  • 左右大腰筋弱化
  • 腹部の硬さ
  • 仰臥位でのお尻上げの重さ
  • 右股関節内旋の渋さ

怠さについては、特に低気圧の時に調子が悪くなるということでした。

全身の触診から腹部の硬さが特に気になり、内蔵性の血流循環不全が原因と仮説を立てました。

患者さんには「内臓の血流循環が自律神経やホルモンバランスの崩れに繋がる」ということを事前に説明し、施術に入りました。

初回は整体器具(3点セット)で調整

初回は整体器具(3点セット)を使って脳反射と重力反射を調整。

シェイク(筋肉の硬さの調整)を行うと、腹部の硬さが多少緩み、股関節内旋時の渋さも緩和。

自動でお尻を上げてもらうと、「さっきより軽いです」と患者さんも変化を実感されていました。

腹部の硬さが残っていたので、肝臓、腎臓を調整。

さらに、大腰筋の筋力が低下していたので、大腰筋のツイストストレッチを行いました。

(ツイストストレッチは部分的な筋肉の問題に対するアプローチで使えてなかった筋肉が使えるようになり、筋出力が上がります。)

調整後は腹部の硬さがさらに緩み、大腰筋の筋力が回復。

「最初と比べて治った感じは何割くらいですか?」と患者さんに聞くと、「怠さは4割くらい、眠気は6割くらい取れた感じがします」と言っていました。

2回目の施術は翌日に

2回目の施術は翌日に行いました。

「昨日はあの後、ダルさも眠気もあまりなかったです」と言っていました。

2回目の施術も初回と同様に行い、施術後に内臓疲労を緩和する目的で食生活改善指導をしました。

1日5食も食べているということだったので、以下4項目を伝えました。

【1】食べる順番(汁物→野菜→肉・魚)
【2】食べる量(腹7分~8分くらいに抑える)
【3】食べ終わる時間(寝る3時間前には終わらる)
【4】小麦は極力避ける

3回目は4週間後にご来院

3回目は少し日が空いて4週間後にご来院。

ダルさや眠気はほぼ気にならなくなったそうで、

PATMについて「アルバイト先の人から嫌がられる感じは減った気がします。でも、空気清浄機にはまだ反応されます(笑)」と言っていました。

食事はかなり意識しているようで、「疲労が蓄積したり、小麦を取ったりすると、PATMの反応が増える感じがします」と言っていました。

毎回腹部のの硬さが出ているので、今後も食事指導を中心に、施術では腹部周りの硬さをチェックしていこうと思います。

信用が相談につながった

今回のケースは、初回で患者さんが施術効果を体感し、信用してもらえた事でPATMのことを相談してくれました。

2回目の施術後からと自ら食事報告をしてくるようになり、そのような信頼関係性が構築出来た上で、食事の指導(食べる順番、小麦粉の一時的な排除や、オメガ6の摂取を控えめにするなど)に対する協力が得られた事が大きかったです。

施術でも生活でも内臓の血流循環が改善出来たことが、結果に繋がったのではないかと思います。

多角的なアプローチが必要

今回は疲労回復整体アカデミー講師の臨床事例報告をそのまま紹介しました。

この事例に対して、熊谷先生は以下のように述べていました。

PATMという症状は僕も初めて聞いたので詳しくは分かりませんが、気になったのは空気清浄機が反応するということです。

空気清浄機が検知するということは、目には見えないレベルで何かしらの物質を出ている可能性があります。

分かりやすく言えば、フケなどです。

もしくは呼気の中に何かが含まれているかもしれません。

臭いもそうですが、体の中から外に出すものというのは基本的に毒素です。

本人からすると生命維持のために体の外に毒素を出す。

しかし、今の検査では見つからないレベルの何かしらの毒素が周囲の人の症状を引き起こすというメカニズムです。

そういった仮説が立てられるのではないかと思います。

その根拠は、食事を変えて症状が軽度になったということです。

食べた物はそのまま体に入ってくるわけではなく、細分化されてそれぞれの栄養素に変換されて体に入っていきます。

この時、必要なのは酵素です。

酵素というのは植物が持っているものもあったり、体内で出る消化酵素もあります。最も酵素として働くのは腸内細菌です。

腸内細菌の状態が良くないということは腸の状態が良くない、ということと同じで、毒素がたくさん出やすい環境になります。

食事というのは「体に必要な栄養素を摂る」という役割もありますが、「腸内細菌の環境を整える材料になる」という役割があります。

そして、健康を考える上で後者の役割の方が重要です。

今回は食事指導をメインでされていましたが、治療する上でそれが最適な方法ではないかと思います。

「ATP生産力の低下」という大枠の問題を理解している先生は、施術だけではなく食事指導などにも意識が向きます。

今回のような症状では、整体はメインではなくサポート役に回ります。

筋骨格系の問題に対しては整体が主役になりますが、それ以外の問題ではサポート役になるということです。

それぞれの性質の違いを理解していけば、患者さんに対する提案の幅が広がります。

ただ一つ言えることは、整体を行うことは体にとって悪影響がない、ということです。

もちろん、好転反応が起こらないレベルで調整を行わなければいけませんが、そこだけ注意して整体を行えば、体は良い方向には向かいます。

「整体を利用して患者さんの目的をどのように達成ができるか」という考え方で現場に立つと、施術における選択の仕方や患者さんへのアドバイスの仕方が分かってくると思います。

そういった考え方が参考になる事例だと思います。

技術を学び、それを使って結果が出ると、「この技術で何でも治せる」と思ってしまうことがあります。

しかし、技術で治せるのは一部の症状であって施術だけで何とかできると思っていると必ずどこかで行き詰まってしまいます。

今回のような症状に対応していくためには広い視野分析し、多角的なアプローチが必要になります。

「なぜ症状は治っていくのか?」という根本的な理論を理解すると、どのように対応していけばいいのかが分かってきます。

是非参考にしてみてください。

SNS SHARE
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

著者

疲労回復整体アカデミー講師の目線で、臨床事例やプロの整体師の先生に役立つ情報を発信していきます。

目次
閉じる